「住み込み家政婦」とはこう契約しよう!~テンプレート付き~
今回のコラムでは、幸運にも自分の要望にあう「住み込み家政婦」を見つけた方が、具体的にどういう「雇用契約書」を結べば、契約上の問題を回避できるか、必要最低限のテンプレートを示しながら、お話しをしていきたいと思います(以前にも簡易版の雛形をコラム:『「 住み込み家政婦と個人契約する!」~求人の方法から費用、契約のポイントまで徹底解説~』に記しましたが、より詳細なものが欲しいとのご要望も頂戴しましたので・・・)ご参考にしていただければと思います。
家政婦を雇用する際の条件や就業内容は、各家庭によって様々でしょうから、前回同様、テンプレートを参考に内容を肉付けしながら作成ください。それでは早速お話しを進めていきましょう。
目次 |
・「家政婦」と結ぶのは「雇用契約」か「業務委託契約」か?
「家政婦」を求人媒体やハローワークからの応募で採用したり、家政婦紹介所から紹介された場合は「雇用契約」を結びます。家事代行の個人事業主(フリーランサー)と契約する際は「業務委託契約」を結ぶ場合もありますが、そういうケースは極めて稀でしょう。「請負契約」「業務委託契約」「派遣契約」など「契約」といっても色々な種類があるので混乱しがちですが、原則「雇用契約」を結ぶと考えていて問題はないでしょう。
・「雇用契約書」に必ず載せなければいけない項目
「雇用契約書」に明記しなければならない事項は法律で決まっています。それは下記の6点です。
1)雇用期間:まず、その契約に期間の定めがあるか否かという点です。有期雇用であればその期間を明示しなければなりません。なお、期間の定めのある雇用であっても、雇用期間が通算して5年を超えた場合、従業員から申出があれば、無期雇用に転換することが法律で義務づけられていますのでご注意ください。
2)契約更新の有無:契約の更新の有無も必須事項です。長く勤めてもらいたいと考えているのならば、雇用期間を明示したのち「甲乙いずれかの申出がない場合には同一の条件をもって自動的に更新されるものとし、以降も同様とする。」という文言を書き添える方法も可能です。この文言があれば、期間毎に新しく「雇用契約書」を取り交わす手間が省けます。
3)就業場所と業務内容:「家政婦」が実際に働く場所を具体的に記載します。また、業務内容も「乙の住居における掃除、洗濯、片付け、料理、買い物、クリーニングの受渡し等の日常的な家事作業、その他左記に附帯関連する一切の作業」といったように具体的に詳細を記しておいたほうがよいでしょう。
4)労働時間・休憩・休日・休暇:始業時間と終業時間を明記し、さらに休憩時間も記載して労働時間を明確にする必要があります。但し「住み込み」の場合は、突発的な事象に対応する必要もあると考えられますので、特例がある場合も付記しておいたほうが望ましいでしょう。
5)賃金に関すること:賃金についてはトラブル回避のためにも、明確に記載しておく必要があります。また賃金の支払い方法や支払い時期(毎月〇日締めの翌〇日払いなど)も記載する必要があります。病欠した場合の控除額まで記載しておけば、なお安心でしょう。
6)退職・解雇に関すること:退職や解雇に関する事項も記載しなければなりません。退職についてはどのような場合に退職となるのか(退職を届け出て雇用主が承認したときや死亡したとき、定年など)について明記します。
また自ら退職する場合にはいつまでに届出をする必要があるか(たとえば退職希望日の1か月前まで、など)についても明記しておいたほうが良いでしょう。
同様に、解雇となる場合についても、できる限り詳しく記載しておく必要があるでしょう。抽象的な記載しかない場合、いざというときに解雇できないこともあり得ますので、想定される解雇理由は面倒でもすべて記載すべきです。
・「住み込み家政婦」ならではの注意点について
「住み込み家政婦」を雇用する場合は、「住み込み」ならではの注意点も発生します。最も大きい注意点は家政婦の「居住空間」に関するものでしょう。「住み込み室」の賃料はどうするのか、光熱費はどうするのか、食費に関してはどう扱うのか、家財道具は今あるものを使ってもらうのか、持ち込んでもらうのか等々様々です。
これらの扱いも「雇用契約書」に明記しておかないと後々大きな問題になりかねません。
例えば・・・、
住み込み室
1)「住み込み室」は○○(2階の東側角部屋:6畳和室など)を貸与する。
2)「住み込み室」の利用に関しては、他人を同居宿泊させてはならない。
3)「住み込み室」でペットの飼育をしてはならない。
4)「住み込み室」を造作を変更したり改築してはならない。
5)「住み込み室」は本契約の解除とともに現状復帰して即時明け渡すものとする。現状復帰に際して要した費用は乙が負担するものとする。
6) 雇用主の許可なく外泊してはならない。
食費
1)食材費として月○○,○〇〇円を給与より天引きするものとする。
水道・電気・ガス
1)水道・電気・ガスなどの光熱費は無償で使用できるものとする。
トイレ・入浴
1)トイレは雇用主と同じ箇所を随時利用するものとし、入浴は20:00~22:00の間に利用するものとする。
等々
細かいようですが、以上のような取り決めを一つ一つ記載しておきましょう。
・その他の注意点
「住み込み室」や「食費」「光熱費」の他にも取り決めておいたほうが良い項目も多々あります。例を挙げると「スペアキー」の取り扱いなどです。万一、家政婦さんがスペアキーを紛失した場合、シリンダー錠の交換費は誰が負担するのか。掃除中にうっかり壊してしまった花瓶などの弁償はどうなるのかなども予め決めておいたほうが良いでしょうし、家政婦さんが不慮の事故に遭った場合のために身元保証人もしくは緊急連絡先など親類縁者の居所も把握しておいたほうが良いでしょう。
・「雇用契約書」のテンプレート
さて、上記の注意点を踏まえて「雇用契約書」の雛形(テンプレート)を作成していきましょう。冒頭でも申し上げたように、「家政婦」にお願いしたい内容は各家庭によって千差万別です。ご自宅の内容にあうように適宜変更しながらご使用ください。
雇 用 契 約 書(テンプレート) 山田太郎(以下「甲」という)と鈴木花子(以下「乙」という)とは、住込家政婦に関し以下の雇用条件に合意し、その業務に付随する必要事項に関し以下の契約を締結する。また、鈴木次郎(以下「丙」という)は、乙が本契約の諸事項に違反し、故意又は過失等により甲に金銭上、業務上の損害又は迷惑をかけた場合は、直ちに善後処置を講じ、乙と連帯してその損害賠償の責に任じるものとする。 第1条(契約期間) 第10条(事故・物損・賠償責任の範囲) 第13条(細則)
令和○○年〇月〇〇日 (甲)東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇ー〇 山田太郎 ㊞ (乙)東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇ー〇 山田様方2階 鈴木花子 ㊞ (丙)東京都〇〇区〇〇町〇丁目〇ー〇 鈴木次郎 ㊞ |
前述したとおり、上記のテンプレートはほんの一例です。実際の内容に基づき加筆・修正してご利用ください。
労働に関する決まり事は、法の改正や判例などにより年々複雑化しています。労使トラブルの防止や万一トラブルが発生した際の早期解決のためにも、弁護士や社会保険労務士等の先生にチェックしてみてもらうことをオススメします。
またこのテンプレートはあくまで参考資料として提示したものであり、このテンプレートを使用したことで生じた問題は、LOBBY(ロビー)では責任を負いかねますので、予めご承知おきください。よろしくお願い申し上げます。
・さいごに
私どもLOBBY(ロビー)では、生憎「住み込み家政婦」のサービスは未だ範疇外ですが、スタッフの充足状況等タイミングによっては、長時間あるいは回数の多いサービスも承ることは可能です。もし「2名体制、3名体制でも可」と仰っていただけるなら、サービススタッフを手配できる可能性も高まります。
もし、家事に関することのお悩み、お困り事がございましたら是非お気軽にお問い合わせくださいませ。
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