「住み込み家政婦」と個人契約する! ~契約のポイントを徹底解説~
「住み込み家政婦」と個人契約をしたいと思っても、特に初めての場合は何をどうすればよいかわからず、頭を悩ませてしまう方も多いのではないでしょうか。「住み込み家政婦」との個人契約については、絶対に外せない押さえておくべきポイントがいくつかあります。そこで今回は「住み込み家政婦」と個人契約する際のポイントについて、労働基準法上の取り扱いから契約時の注意点まで、特に法的な側面を中心に解説したいと思います。
【 目 次 】 |
Ξ「住み込み家政婦」の位置づけ
まず最初に、「住み込み家政婦」とはどのような人たちのことを言うのか、関連する法律と合わせて説明したいと思います。
●「家政婦」には2つの種類
一般的に「家政婦」と呼ばれる仕事には、雇用形態の違いにより次の2つの種類があります。
① 労働基準法が「適用される」家政婦: 家政婦紹介所や家事代行サービス会社など、家事作業を事業として請負う者に雇用されて、事業として請負う者の指揮命令のもとに個人宅の家事作業を行う者
② 労働基準法が「適用されない」家政婦: 個人の家庭において、個人との直接契約によりに雇われて、その家族の指揮命令のもとで個人宅の家事全般に従事している者(雇い主が個人である場合はもちろんのこと、法人に雇われて、その役員等の自宅で家事を行う場合も含む)
●「個人契約の家政婦」は労働基準法の対象外
労働基準法の「労働者」とは、職種を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者を指します(労働基準法 第9条)。労働基準法は、原則としてすべての労働者に適用されますが、「同居の親族のみを使用する事業」と「家事使用人(=個人契約の家政婦)」については適用が除外されています。(労働基準法 第116条2項)。
即ち、上記②に該当する「個人契約の家政婦」は、「住み込み」「通い」に関わらず、労働基準法の「家事使用人」(=個人の家庭において、その家族の指揮命令のもとで家事全般に従事している者)として労働基準法の適用除外という扱いになります。
●労働基準法が適用されないとどうなる?
「個人契約の家政婦」が「労働基準法の適用外」ということは、「法定労働時間」(1日8時間・1週40時間を超えて働いてはいけないなど)は関係ありませんし、社会保険・労災保険・雇用保険の被保険者にもなれません。つまり一般的な「労働者」としてのメリットはなくなります。
「住み込み家政婦」を希望する人が少ない理由の一つとして、この労働基準法に守ってもらえないという点が挙げられるではないでしょうか。万が一業務中に怪我をしても労災にならない・・・、急に解雇されてしまっても失業保険ももらえない・・・となると、どうしても不安になりがちです。「住み込み家政婦」と個人契約する場合、その点を十分に理解して配慮する必要があります。
Ξ「住み込み家政婦」との個人契約
次に、「住み込み家政婦」との個人契約にはどのような内容が必要か、という部分についてお話しします。
●業務内容(何を?)
まず、依頼する「業務内容」を決定します。「料理・掃除・洗濯等家事の全てを任せたい」、「高齢の両親の身の回りの世話を中心に頼みたい」、「子どもの送迎や見守りなど、両親が留守中の子どもの世話をメインにお願いしたい」など、依頼したい内容を予めはっきりと決めておきましょう。合わせて、お互いの認識を一致させるためにも、1日の業務の中での作業の優先順位についても明確にしておくよいでしょう。
●就業時間(いつ?)
次に決めるべきは「就業時間」です。 「住み込み家政婦」を雇う場合、何をどのくらい、どのように頼むかは当事者同士の個人間契約で自由に決められます。そのため決まった価格表などはなく、基本的には本人同士の話し合いと事前合意によって全てが決まることになります。依頼する業務内容や作業量に応じて、働く日数(週休2日なのか、土日も必要なのか)や、働いてもらう時間(1日8時間程度なのか、12時間程度なのか等)、働く時間帯(日中のみなのか、早朝や深夜も必要なのか)などについて、明確に決めておくことが重要です。
●賃金報酬(いくらで?)
続いて、依頼する内容や時間に基づき「賃金報酬」を決定します。金額はもちろんのこと、月給なのか日当なのか、締めと支払はいつなのか、現金なのか振込なのか、といったことも決めておきます。「住み込み家政婦」の住居費や食費などの必要経費を誰がどのような形で支払うか、支払額からの天引き控除の形にするのか、最初から除いた金額にするのか、全額負担なのか一部負担なのか、といったことも予め決めておくことが必要です。
●順守事項(どのように?)
最後に「順守事項」を明確にします。プライバシーへの配慮、個人情報の取り扱い、貴重品の取り扱い、物損や紛失時の責任範囲、自宅内での過ごし方、居室の使い方、来客や電話応対のルールなど、自宅における作業から居住までの注意点を思いつく限り書き出します。一方で、雇う側には家政婦さんの生活環境(食事、入浴、トイレ、睡眠、等々)をきちんと整える、仕事と私事をきちんと分ける、家政婦さんの私生活に干渉したり私生活を侵害したりしない、といったことも求められます。
Ξ「住み込み家政婦」との契約書式(雛型)
続いて、「住み込み家政婦」と個人契約をする際の 「契約書式」について説明します。
●契約書は必要?
候補となる「住み込み家政婦」が見つかり、内容について話し合って合意に至った際には、話し合った内容をすべて必ず書面に記載して「雇用契約書」として取り交わしましょう。相性のいい「住み込み家政婦」とは非常に長いお付き合いになることも考えられます。最初は面倒に思われるかもしれませんが、「ちゃんと話したから大丈夫だろう」ではなく、あとからの「言った、言わない」を無くし、お互いの良い関係を持続させるためにもきちんと書面を取り交わしましょう。
●「雇用契約書」(サンプル)
必要最低限の内容を盛り込んだ「雇用契約書」の基本の雛形を下記に提示しておきます。こちらを参考にしながら、ご自身の内容を追加して「雇用契約書」を完成させることができます。
雇 用 契 約 書
使用者〇〇〇〇(以下、「甲」という。)と被用者〇〇〇〇(以下、「乙」という。)とは、本日、次のとおり雇用契約を締結する。 第1条 甲は次の労働条件により乙を住込家事使用人として雇用し、乙は、甲の指示命令及び甲とのその他の諸規定に従い、誠実に勤務することを約した。 (1)就業場所(住込室) (2)業務内容 〇〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇、前各号に附帯関連する一切の業務 (3)就業時間 午前〇時〇分から午後〇時〇分 (4)休憩時間 午前〇時〇分から午後〇時〇分 (5)休日 〇〇〇〇 (6)賃金 月給〇〇〇〇円(毎月〇〇日締め〇〇日払い) (7)その他 食費〇〇〇〇円、水道光熱費〇〇〇〇円 〇〇〇〇以外の無断外泊は禁止とする
第2条 乙は、住込室の使用にあたっては、次の事項を遵守しなければならない。 (1)他人を同居宿泊させないこと (2)ペット、危険物を持ち込まないこと (3)現状を変更しないこと (4)〇〇〇〇
第3条 乙が本契約に違反し、又は甲とのその他の諸規定に違反したときは、甲は乙を解雇することができる。乙が解雇されたときは、乙は、〇日以内に住込室を甲に明け渡さなければならない。 第4条 本契約に定めのない事項については、甲とのその他の諸規定の定めるところによる。
以上のとおり契約が成立したことを証するため、本書を2通作成し、各自署名押印のうえ、それぞれ1通を保有する。
〇〇〇〇年〇〇月〇〇日 使用者(甲)住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号 〇〇 〇〇 ㊞ 被用者(乙)住所 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号 〇〇 〇〇 ㊞ |
上記の「雇用契約書」はあくまで一例です。見本の第4条にある『甲とのその他の諸規定』には、「機密保持契約書」「物損時の責任の所在と弁済方法」「身元保証書」等が含まれます。労働に関する契約は、法の改正や判例等により年々複雑化しています。労使トラブルの防止、また万一トラブルが発生した際の早期解決のためにも、契約前に弁護士や社会保険労務士の先生にチェックしてもらうと安心です。
Ξ「住み込み家政婦」以外の方法は?
最後に、「住み込み家政婦」以外の選択肢をご紹介します。「なかなか条件に合う人が見つからない」「家政婦は必要だが住み込みでなくてもよい」「雇ってみたもののイメージと違った」といった場合の参考にしてください。
これまでの「家政婦」に代わって近年急速に認知度が高まり、利用者が増えているのが「家事代行サービス」です。「家事代行サービス」とは、仕事や育児・介護などで忙しいお客様に代わって、お客様宅お掃除・洗濯・料理等の日常家事をするサービスです。「家政婦」が個人間の契約であるのに対して、「家事代行サービス」は企業が消費者向けサービスとして提供する点が一番の違いです。
●サービスなので料金体系や契約内容が明確
「家事代行サービス」は、時間単位の料金体系が中心で、その他のルールについても明確に定められているため、個人間の条件交渉が不要です。その会社から紹介されるスタッフであれば、基本的にはどのスタッフでも同じ料金でサービスを利用できます。
●会社が雇用したスタッフがサービスを提供
「家事代行サービス」のスタッフは、サービスを提供する会社の従業員です。労働基準法でいう一般の「労働者」に該当し、労務管理や教育研修などは雇用主であるサービス提供会社が責任を負っているため、消費者として安心してサービスを利用することができます。
●物損やトラブルはサービス提供会社が対応
「家事代行サービス」で器物破損、物品の紛失・盗難、プライバシー情報の漏洩などのトラブルが発生した場合、各種法令やサービス利用規約に基づきサービス提供会社が一義的な責任を負います。賠償対応や警察への届け出、本人への指導など、自分が煩わされることなくサービスを利用できます。
■家事代行サービスのLOBBY(ロビー)
当社は首都圏と関西圏で高品質な「家事代行サービス」を提供している会社です。忙しい皆さまに「ホテルで暮らすような快適な毎日」をお届けするをコンセプトに、2005年の設立以来、経営者や医師などの多くの富裕層の方々にご利用いただいております。いつも通り、希望通りに。週1回 / 2時間~の定期サービスで、掃除・洗濯・料理などの日常の家事を代行しています。
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株式会社ロビー / 富裕層向け家事サービスのLOBBY(ロビー)
代表取締役
対馬 誉仁(Tsushima Takahito)
1977年香川県生まれ。慶應義塾大学商学部卒。JPモルガン証券を経て、2005年株式会社ロビーを設立。 「忙しい皆さまにホテルで暮らすような快適な毎日をお届けしたい」という想いが社名の由来。趣味は「仕事!」と言い切る熱血社長。